初めに
英国のスタートアップ企業であるPineapple Technology Ltd様が運営するincident.ioに関連したブログ The Practical Guide to Incident Management のポイントと解説
ポイント!!
- チーム内の風通しを良くすることはチーム同士が信頼関係を築くのに役立ち、インシデントの課題を成長の機会に変えます。
- しかし、人間は本来ミスを認めることを本能的に避けがちです。ミスに対する恐れを乗り越え、常に正直にタスクに取り掛かることがチーム内の信頼を築くことになります。
- 誰も非難されない状態をチーム内で保つことを心掛け、明確かつ率直的に話し合うことを心掛けましょう。チームが一丸となり、成功と失敗を共に経験することも必要になるでしょう。特にシニアメンバーがミスを認めることで例を示したりすることや、ミスを議論する際にはメンバーに気を配り、個々の起こしたエラーではなくチームのこれからに焦点を当てたりすることが大切です。
参考:Fostering a transparent culture
解説
これはとても難しい課題ですね。。。
風通しの良い組織にすべきことは誰しもが認めている中で、難しい理由は「人間が恥を感じるため」と書いてあります。そのためには問題が起こったときに、「間違いを認めることができて、問題が起こった時にオープンになれるチームを構築する」とあります。俗にいう心理的安全性ってやつに近いですね。なかなかこれが難しいわけで、、、
記事中には「明示的にする」「一緒に失敗する」とありました。
前者の「明示的にする」はよく聞きますが後者の「一緒に失敗する」は題名は面白かったのですが、中身は「個人の責任じゃなくてチームで責任を取る必要がある」といったもので、ちょっと思ったものと違いました。
私の見解として、ユーザー企業+SIerのシステム障害において「風通しの良い組織」にするためには「目標を一致させること」だと認識しております。
(複数社でサービス提供者と保守している会社が違う場合など)
私自身が心がけていることですが、SIerからすると「自分達に責任がないこと」が目標になることが多い認識です。システム障害に起因して夜間対応や追加対応が入ることは好ましくはありませんが、ユーザー企業と一緒に頑張ろう!という気持ちになれます。唯一邪魔するのは「自社の責任じゃない、自分の責任じゃない」と責任逃れをしたくなってしまうことです。
これをユーザー企業の「ビジネス影響を極小化させる」こと、のようにユーザー企業と目標が一致することで責任逃れを回避できて、「結果風通しの良い組織」にできます。
責任の所在ではなく、どうやれば「ビジネス影響を極小化」できるかに着目がすれば誰の責任は置いておいて、こうやれば治りそう!ということに着目ができます。
もちろんこれにはユーザー企業側の度量も試されるもので、どうしてもSIer・ベンダ・開発チームがミスをしていたら怒りたい気持ちは誰でもあると思います。。。(彼らも内心ドキドキしながら恥を忍んで報告してくれているはずです)少なくともシステム障害のような緊急時にはエンドユーザーのためにも絶対触れず、復旧が終わってエンドユーザーがITサービスをしっかり利用できることがわかってから、一度お茶でも飲んでから一緒に直す道を考えましょう。
用語
シニアメンバー:組織やチームの中で、経験が豊富で高いポジションにいるメンバー。
野村浩司
野村浩司:金融システムの開発保守運用と改善を12年担当。7年にわたり合計約 1000 件の障害事例を分析。システム障害対応の改善では、アラートを9割削減。